お客様ならびに関係各位様、
1月19日(木)から23日(月)まで臨時休業致します。
ご不便をおかけしますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
エム・レコード
お客様ならびに関係各位様、
1月19日(木)から23日(月)まで臨時休業致します。
ご不便をおかけしますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
エム・レコード
=坂本慎太郎 x VIDEOTAPEMUSIC『バンコクの夜』12インチの再入荷予定につきまして=
現在、幾つかの店舗様で未入荷/品切れとなりご迷惑をおかけしております今回の『バンコクの夜』12インチですが、12月最終週に枚数限定で再入荷致します。その後、1月下旬〜2月下旬に再度の入荷を予定しています。各小売り店様にはご予約順に発送して参りますので、今しばらくお待ち頂けますよう、お願い申し上げます。
★VIDEOTAPEMUSICライブのお知らせ★
VIDEOTAPEMUSICの初のワンマン・ライブが12/10(土)に渋谷WWWで行われます。
渋谷WWWといえば空族映画『バンコクナイツ』の東京プレミア&伝説的なモーラム・ライブをやった箱であり、そして!バンコクナイツ・トリビュート作、坂本慎太郎とのコラボ『バンコクの夜』の発売同日に開催されるという、双方にとって永遠の記念になるイベントです!この二度と無い機会、VIDEOさんファンのみならず、映画ファン&空族サポーターの皆様も是非ぜひご参加ください。
※当日会場で『バンコクの夜』12インチが販売されます(ご予約できなかった方は入手のチャンスです!)。
■「VIDEOTAPEMUSIC ONE MAN SHOW:Her Favorite Moments」■
日時:12月10日(土)@渋谷WWW
OPEN 18:00 / START 19:00 ¥3,200 D代別 / オールスタンディング / GUEST DJ有り
「普通の夜を特別な一夜に、VIDEOTAPEMUSICが本気で踊らせにかかる!自身初となる!待望のワンマンライブが間もなく渋谷WWWにて開催されます!」(カクバリズムさんの資料より抜粋)
イベント詳細は以下にてご確認下さい:
VIDEOTAPEMUSIC:http://videotapemusic.tumblr.com/
カクバリズム:http://www.kakubarhythm.com/
★★★甲府空族祭りのご案内★★★
11月12日(土)、11月13日(日)甲府市桜座にて『バンコクナイツ』先行上映!
Soi48とエム・レコードがサポートしている空族の映画最新作『バンコクナイツ』が、空族の地元山梨の桜座で先行上映されます。これぞザ・ホーム・プレミア!
二日間ともエム・レコードとSoi48で会場物販致します。タイ音楽他のCD、レコードを即売。内緒の特典&レア盤も少々あり。
そして13日上映終了後は別イベント「ワイワイパーティー〜タイ音楽スペシャル〜@甲府juju」開催。スティルイチミヤ、Soi48等がDJします。
詳細は以下:
http://soi48.blogspot.jp/2016/11/1113sun-juju.html
jujuのウェブサイト: http://www.juju1208.com/
■■■桜座上映スケジュール■■■
11月12日(土)
■第一部
11:00開場 / 12:00~『地獄の黙示録』上映(147分)
ライブ:LFB
■第二部
16:30開場 / 17:00~『バンコクナイツ』上映(182分)
ライブ:stillichimiya feat. Crazy Knife
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11月13日(日)
■第一部
11:00開場 / 11:30~『バンコクナイツ』上映(182分)
ライブ:スリ・ヤムヒ・アンド・ザ・バビロン・バンド
■第二部
16:30開場 / 17:00~『バンコクナイツ』上映(182分)
ライブ:J.R.P.スペシャルセッション
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■入場料
『バンコクナイツ』:2,500円
『地獄の黙示録』:1,500円
『地獄の黙示録』+『バンコクナイツ』通し券: 3,500円
※すべてドリンク代別
その他、上映詳細は以下ページでご確認ください。
桜座のウェブサイト: http://www.sakuraza.jp/
空族のウェブサイト: http://www.kuzoku.com/news/676/
以上、よろしくお願い致します。
9月24日から10月1日までの一週間、映画+音楽+ライブが複合したタイ関係のイベントが開催されます。以下、その詳細をご案内致します。首を長くして待っていた方も多いかと思います。よろしくお願い致します。
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■9/24(土)■
会場:山口 YCAM
山口 YCAMのウェブ:http://www.ycam.jp/events/2016/sound-tectonics-18/
●『バンコクナイツ』ジャパンプレミア“爆音”上映
●sound tectonics #18 バンコクナイツ トリビュート・ライブ
遂にベールを脱ぐ『バンコクナイツ』の日本プレミア上映と共に、モーラム軍団と日本のラップ・グループstillichimiyaのライブが行われます。モーラム側はアンカナーン・クンチャイとポー・チャラートノーイというタイの人間国宝が出演します。
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■9/27(火)~10/1(土)■
会場:渋谷WWW
●『爆音映画祭2016 タイ・イサーン特集』
爆音映画祭のウェブ:http://bakuonthai2016.com/
■9/27(火)「モーラム・ライブ」
出演:アンカナーン・クンチャイ、ポー・チャラートノーイ、ポンサパーン・ウパニ日本側からは井出健介 & attc vs Koharuというこの日だけのスペシャル編成。
DJ:Soi48
※今回を逃したら二度と観ることのできない組み合わせです!
■9/28(水)「爆音社会派映画特集」
上映作品順:
『トーンパーン』(1976)
『東北タイの子』(1982)
『タクシードライバー』(1977)
■9/29(木)「爆音大衆映画特集」
上映作品順:
『花草女王』(1986)
『ルークトゥン・ミリオネア』(2013)
『モンラック・メーナム・ムーン』(1977)
■9/30(金)「爆音アピチャッポン特集」
上映作品順:
『アートプログラム<中・短編集>』(2005-2010)
『光の墓』(2015)
『アイアン・プッシーの大冒険』(2003)
■10/1(土)スペシャル・イベント『バンコクナイツ』東京プレミア爆音上映
ミニ・ライブ:stillichimiya
トーク:空族、Soi48、樋口泰人、その他予定
DJ:Soi48
※『バンコクナイツ』は来年2月から全国各地で公開されます。そこで物は考えよう。全部観たいけど時間がない!という方、『バンコクナイツ』は後からでも観れます(DVDにしないのが彼らの流儀ですが)。アピチャッポンも他でなんとか観れます。しかし、9/28、9/29のタイ映画は本国でもDVDになっていないものが大半で、今回1回きり。逃すとタイに行って苦労して字幕無しの海賊DVDを探すより他はありません(たぶん出て来ないでしょう)。
今回の『バンコクナイツ』~爆音映画祭とタイポップスを絡めた文章を「タイ音楽の面白い話#2:あなたは水牛に乗る人ですか?」にまとめて掲載しています。予備知識的にぜひお読み下さい。
・タイ音楽の面白い話#2:http://emrecords.net/thai_music_article_2_sep_2016/
ちなみに「タイ音楽の面白い話#1」はこちら:http://emrecords.net/thai-music-story-lam-phaen-doi-inthanon/
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こちらはタイと関係ない大阪のイベントのご案内です。
■9/25(日)■
●The DREAM SCENE:夢想が生んだ架空のコンサート・フライヤー&ポスター展 at OSAKA
時間:13:00-14:00
会場:Pulp(大阪)
内容:同イベントの最終日に、DJ 行松陽介とエム・レコードの江村の2人で公開対談を行います。何を話すのか全く未定(!)です。
FBページこちら:https://www.facebook.com/events/1202661843124336/
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過去最大のタイ音楽フェアー大好評開催中!
<http://emrecords.net/thai_music_campaign_sep_17/>
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「タイ音楽」の素晴らしい世界を広めるため、Soi48とタッグを組んでリリースを続けております、エム・レコードのタイ音楽アーカイブ・シリーズもいよいよ10タイトルを数えることになりました。
その過程で、空族の最新劇映画『バンコクナイツ』(2017年2月全国公開)にエムのタイ音楽アーカイブから楽曲が提供されることになり、また、来年公開の海外の複数の映画でもサントラ使用が決定。9月24日には山口YCAMにて『バンコクナイツ』日本プレミアに併せてアンカナーン・クンチャイ、ポー・チャラートノーイを迎えたモーラム・ライブを開催。9月27日〜10月1日は、渋谷WWWにて「爆音映画祭:特集タイ|イサーン」が行われます(初日9/27はモーラム・ライブ)。
そこで今回、アンカナーン・クンチャイ、ポー・チャラートノーイの来日を祝い、9/17発売の新譜、ソンタヤー・カラシン『グレードAの男』とアンカナーン・クンチャイ『みんな、忘れないでね』の発売に併せ、対象商品を複数枚同時に購入された方に『幻の音源』を収録した非売品CDをその場でプレゼントする過去最大のタイ音楽フェアを開催致します!
キャンペーン期間:9/17〜12月末頃(特典CDが品切れになった時点で打ち切りとなります)
対象店舗:ディスクユニオン/HMV EC(ローチケHMV)/タワーレコード(渋谷/新宿/梅田大阪丸ビル/京都/オンライン)
※フェアーご参加希望の店舗様は、こちらまでお問い合わせ下さい。
対象商品:エム・レコードのタイ音楽シリーズCD/LP版:
・トンファド・ファイテッド『ディー・ソー・イサーン:ザ・ノース・イースト・ヴァイオリ ン・オブ・トンファド・ファイテッド』[EM1101CD]
・アンカナーン・クンチャイ『イサーン・ラム・プルーン』EM1126CD
・アンカナーン・クンチャイ『イサーン・ラム・プルーン』EM1126LP
・ダオ・バンドン『コン・キー・ラン・クワーイ(水牛に乗る人):エッセンシャル・ダオ・バンドン』EM1131CD
・ダオ・バンドン『コン・キー・ラン・クワーイ(水牛に乗る人):エッセンシャル・ダオ・バンドン』EM1131LP
・ホントーン・ダーオウドン『バンプ・ラム・プルーン:エッセンシャル・ホントーン・ダーオウドン』EM1142CD
・ホントーン・ダーオウドン『バンプ・ラム・プルーン:エッセンシャル・ホントーン・ダーオウドン』EM1142LP
・クワンター・ファーサワーン『憎っくきモーターサイ:ザ・ベスト・オブ・ラムペーン・シスター・ナンバー・ワン』EM1145CD
・クワンター・ファーサワーン『憎っくきモーターサイ:ザ・ベスト・オブ・ラムペーン・シスター・ナンバー・ワン』EM1145LP
・パイリン・ポーンピブーン『ラム・クローム・トゥン~幻の白い鳥:エッセンシャル・パイリン・ポーンピブーン』EM1147CD
・パイリン・ポーンピブーン『ラム・クローム・トゥン~幻の白い鳥:エッセンシャル・パイリン・ポーンピブーン』EM1147LP
・ステープ・ダーオドゥアンマイ・バンド『俺たち兄弟、都会を行く』EM1149CD
・ステープ・ダーオドゥアンマイ・バンド『俺たち兄弟、都会を行く』EM1149LP
・V.A.『ドイ・インタノンの仕事:イサーン・ポップス名作選』EM1152CD
・V.A.『ドイ・インタノンの仕事:イサーン・ポップス名作選』EM1152LP
・ソンタヤー・カラシン『グレードAの男』EM1156CD
・ソンタヤー・カラシン『グレードAの男』EM1156LP
・アンカナーン・クンチャイ『みんな、忘れないでね』EM1157CD
・アンカナーン・クンチャイ『みんな、忘れないでね』EM1157LP
★★★更に爆弾情報!非売品7インチシングル★★★
ディスクユニオンさんでは、このフェア以外では入手不可能なスペシャル7インチを独自特典としてプレゼントされます。A面はバーイエン・ラーケンによる鬼のキラー・モーラム、B面は鳥の声をイメージしたフルートと効果音が入った、スピリチュアル/アンビエント・モーラム・チューンの幻の傑作です(あり得ないカップリングで生涯の宝物!)。マスタリングはおなじみRuv Bytes倉谷氏。詳細はディスクユニオンさんのウェブにてご確認下さい!
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https://www.facebook.com/events/1025725497483128/
■■ Soi48 VOL.20 神弓祭(弓神楽 RELEASE PARTY!)■■
日時:8/28 (日) 19:00-24:00
会場:BE-WAVE(歌舞伎町)
エントランス : 2,000yen(玉串料含む)
※入場頂いたお客様にはお神札(おふだ)が頂けます。
※弓神楽(神弓祭)は21時より1時間程度を予定してます。
「田中重雄/弓神楽」のリリースを祝っての「神弓祭(じんきゅうさい)」を開催します!
広島県府中市上下町井永八幡神社より、弓神楽の唯一の後継者である田中律子宮司を迎えてお送りするスペシャルすぎる一夜!!!
フロアに祭壇を設け、神事としての弓神楽をBE WAVEで完全再現致します。
迎えるSOI48のDJ陣は果たして何をプレイするのか?
伝統音楽とクラブミュージック、生の音楽とレコードの関係性を問い直す前代未聞のパーティをお見逃しなく!
(きっと「何か」が起こります!)
https://www.facebook.com/shipoffoolsosaka
■■TOM & Ship of Fools■■
日時:8/21 (日)
集合:17:30(場所は後日お知らせ)
船:Ship of Fools
予約:¥2500(20名限定!)
※お名前、人数、携帯番号を以下アドレスまで送ってください。
知ってる人は大阪イベント通? 大阪湾岸クルージングする船上イベント「Ship of Fools」にCOMPUMAさんが登場。
昨年発表したアルバムを共作した竹久圏さんとライブされます。江村は例のHakuのLPと12”その他を持って乗船しDJ
でサポートさせて頂きます。
※要予約ですのでお気をつけ下さい!
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ライブ:コンピューマ feat. 竹久圏
DJ:江村幸紀(EM Records) / そよ風工房(DISTEST・BIOMAN・oboco)
音響・録音:東岳志(PLANT LAB.)
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フライヤー
イラスト:パトリック・ツァイ
デザイン:廣田碧
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お客様ならびに関係各位様、
8月7日(日)から14日(日)まで夏期休業致します。期間中は受注はできますが、発送対応ができません。
ご不便をおかけしますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
エム・レコード
■■■タイ音楽の面白い話:「ラム・ペーン」はモーラムのロックなパタナーだったか?■■■
普段エムでSoi48の解説で接して頂いているタイ音楽ですが、たまには自分の言葉で書いてみたいと思います。え?大丈夫かって?マイペンライです(!?)
ドイ・インタノンというタイ東北地方、通称イサーン出身のプロデューサーがいて、70s-80sにかけてコンサート現場〜芸能界でギラギラな活躍をしていた。ドイ・インタノンは芸名で、タイ北部チェンマイにあるタイの最高峰の名をそのまま使っている。我が国ではつまり芸名「富士山」。ドイさんに命名の理由を尋ねると「若かったからね〜」。
このドイさんはタイ・ポップスのルークトゥンはもちろん、イサーンの伝統大衆芸能のモーラムも当然のごとく手がけたのですが、これがまたモーラム愛好家が眉をひそめそうな、物議をかもすようなものばかり。その突端が「ラム・ペーン」というドイさんが作って流行らせた新型のモーラムでした。ラム・ペーンは1982,3年頃に現われて、90年代まで続いたらしい(現在もあるにはあるそう)打ち上げ花火のように栄えた、実にいかがわしくもゲキ最高なモーラムであります。これに日本で最初に気付いて言い出したのは我らがSoi48であります。90sのUKジャングルの感じ?いや違うか? 何がcoolかというと、息継ぎもままならないほど矢継ぎ早に、思い切り下世話なイサーン庶民の現実と夢想をラムした歌詞。たぶん。「たぶん」というのは、イサーン語が難し過ぎて分からないので、全部のラムが理解できるわけではないからですが、それでも訳出で判明したものが全て期待を裏切らないもので、良く言えばストリート感、そのままだとダメなイサーンの日常。よくぞここまでグダグダにやったものだ。この采配こそドイさんのセンスで、今から30年前の作品ながら、現在のイサーン人ギャルにいまだにウケるというダンス音楽です。このラム・ペーンを頂点とするドイ制作のモーラムはたいてい歌詞が長く、テキストに起こしてみると更によく分かります。同じイサーン出身のプロデューサー、スリン・パクシリ制作の歌詞に比べると文字量は2、3倍、ものによってはもっと多い。毎回エム盤の印刷物のページ数計算に頭を悩ますのであります。これをレコード上では、他の曲と同じ3,4分くらいでラムしていくから、伸びやかに喉を鳴らして朗々と歌うなんてことはなく、立て続けに言葉を継ぐ、もうほとんどラップの域です。
ラム・ペーンの音楽スタイルについては、イサーンの地方にあるモーラムの「型」を土台にしたとのことです。そう、モーラムは型が命!厳しい人なら型が崩れたらもうモーラムじゃない、モーラムもどきの歌だ、ということになる。ラム・ペーンには70年代から大流行が続いたラム・プルーンの影が見て取れ、特に初期には影響が濃厚で、ぱっと聞くとラム・プルーンと間違えそうですが、ドイさんは取材で、ラム・プルーンよりテンポが早いんだよとその場で机をドンドン叩き、その違いはテンポにあり!と強調しておられました。非常にざっくりした数値ですが、ラム・プルーンはBPMが100前後くらいとして、アンカナーン・クンチャイの名曲「イサーン・ラム・プルーン」はそれより少し遅く、これに対してラム・ペーンはBPMで+20かもっと、きっちりと速い拍子でラムされるのです。同じ頃に出現するもうひとつのBADな高速モーラム、ラム・シンとは出自の筋が全く違うので比較は難しいものの、どちらも「は、速え〜!かっけ〜〜!」というロック的?感覚でウケたことはほぼ間違いない。理屈は分からないが、速い=かっこいい、世界のユースに共通の価値観です。
この「ラム・ペーン」の第一号というのがバッチリ存在していて、それはトーンマイ・マーリーという男モーラムのやった「ラム・ペーン 4ハイの男」そしてクワンター・ファーサワーンという女モーラムの競作「ラム・ペーン 4ハイの女」です。両方とも鬼の大ヒット。最初から対になっていて、ドイ先生、仕掛けてるぜ〜!感が分かります。同じ曲を男女別の歌詞で歌うのは、60年代にルークトゥンの王様、スラポンがポンシー・ウォーラヌットと組んで流行らせたスタイルで、カバー・ヴァージョンではなくて、対になって歌が完結する形式。日本では類例がひけそうでひけない、タイ独自の芸能でしょうか。「4ハイの男/女」はそれをきっちり踏襲しています。
さて、歌詞です。トーンマイの「4ハイの男」は、俺は酒豪、8日間飲み続けても問題ない、一晩で4ハイいける、俺はクールガイ。「アニキ、男とは?」「飲むことよ!」(引用:渡達也&渡瀬恒彦の松竹梅CM)。この4ハイの「ハイ」はタイ語で甕(かめ)=酒を入れる土器の瓶のことで結構デカい。しかも中身は凶悪な米の密造酒だ。これを4ハイいっちゃう。
いっぽう、クワンター・ファーサワーンの「4ハイの女」は、「4ハイの男」を頭からあしざまに罵倒する。カクテル2,3杯でふらついて水牛にぶつかるようなお前(笑)ほら吹きもいいかげんにしろ 飲むならメコンでもホントーンでも何でも持ってこい、サシで勝負してあげるわよ!とストロングなオネエチャンが啖呵を切る。これが当時、カセットテープでカップリングで発売され爆ヒット。恐らくセールス単位は千や万でなく10万という凄さで、買うのはイサーン人かラーオ系タイ人のみ。何故か?全てコテコテのイサーン語でラムされていたからです。中央(バンコク)や南部のタイ人には、何がラムされているのかさっぱり分からないし興味もなかったでしょう。何しろ中央タイはイサーンを卑下していた(いる)から。
この際、ドイ・インタノンがただのプロデューサーではなかったところ、もう少し解析してみます。
クワンター・ファーサワーン「ラム・ペーン 4ハイの女」でドイは3つの新しいことを試みた。ひとつは、ラム・ペーンという新型モーラム、二つ目は女性モーラムのイメージの刷新、三つ目は当時の最新メディアであるカセットテープでの販売です。そのカセット・アルバムは、トーンマイ・マーリー「4ハイの男」との両A面というカップリングで話題性も十分(※掲載写真は当時のカセットインデックス)。値段も比較的安価で、イサーン人労働者にとってはLPレコードより随分と手が出しやすくなった。それでも、日本人感覚に演算すると1本2500-2800円、所謂レコード業界で言うフルプライス、にあたると誰かが書いていました。カセット1本とはいえ贅沢品です。
三つ目の女性モーラムのイメージの刷新というのが実は大きなポイントで、従来は、モーラムでもルークトゥンでも可憐で美しい歌姫像というのが必須条件で、浅黒い肌のイサーン人歌手は白い肌に化粧し、丸顔を隠すため斜めから撮影するなど涙ぐましい演出をしていて、アメリカ黒人がやっていたコンクと思考は似たのものだった。歌う内容には、都はるみの「着てはもらえぬセーターを 寒さこらえて編んでます〜」ばりの、男性に媚びた演出も多分に含まれていた。その最たる例が、ドイさん制作の最初のスター歌手となったホントーン・ダーオウドンで、松田聖子を思わせる徹底的なぶりっ子で通し、結婚して引退という見事な芸歴だった。クワンター登場以前はほぼ全てこのイメージといっていい。
しかし、声はいいがルックスに問題があった(ドイ本人談はもっと過激な表現でしたが……)クワンターはそれまでにない強烈な個性、男どもを罵しり、怒りの感情をむき出す「ロックな」女性モーラムという演出で登場した。そのヘアスタイルもロック。写真は無表情で正面向いてドーン!新時代到来!ラムでは、仕事しない、金も無いのに酒ばかり、女を追いかけ、妻子がいたら隠して浮気、そんな駄目イサーン男どもに喝!というクワンターは、後に米に登場する姉御ラッパーの先駆けではないか?イサーン女はさぞスッキリし、イサーン男は「言ってくれるぜ!」とウケたのではないかと思います。うがって見ると、ドイの手になる歌詞と演出で、現実にはできそうにないことを、クワンターに代弁させたということではないか。自分の経験では、タイの残念な男連中、実はこれが少なくなく(笑)現実は駄目な男をもてあます日常ゆえ、クワンターのラムがより小気味よく響いたのかもしれません。音楽でも映画でも、人の口の端に上るのは、自らの周囲に起こっている日常ではないのです。※ただし、このへんは私独断の説なので、真に受けないように〜。
このラム・ペーンが威力を最大限に発揮した曲は、クワンターの「憎っくきモーターサイ」、ステープ・ダーオドゥアンマイ・バンド「俺たち兄弟、都会を行く Pt.1 & 2」あたりではないでしょうか。
「憎っくきモーターサイ」は自分の婚約者をこともあろうにバイクに取られた(他の女ではなく!)女の絶望感を歌い、憎っくきモーターサイの轍にゲロを吐いてしまいたい、というマッドな怒りが、軽快なバイクのエンジン音に混ざって爆発する。
「俺たち兄弟、都会を行く」は、イサーンの2人兄弟が「コンドミニアムってのを見に行こうぜ!」と、切符代をケチって入場券で駅に入り、列車の屋根に乗ってバンコクに乗り込み、自虐的なイサーン人ネタでバンコクっ子とやりあう珍道中を描写したもの。実はこれ以外に聞いたことがない「男二人の掛け合い」のラムがキラーで、熱いロックなノリはクリスタル・キングを思わせる……のは80sを生きた自分だけか。これから行くぜ!というスタート感に溢れた曲で、Soi48がよくDJでド頭にかけるチューンでもあります。ネタばらし。
歌手のキャラクターに応じて全く違う世界の歌詞を書き分け、しかもセンセーションを起こすプロデュース演出ができたドイ・インタノンは、元々、作詞家として注目された人で、その才を先達の先生方に認められ、音楽業界で生計をたてるようになった。最初期の仕事であるルークトゥン・イサーンの名曲「バンコクなんて嫌いさ」は、イサーン人の複雑な心境をオチをつけてポップスにした歌詞が見事。題名も素晴らしい。これはDJの誰かさんがタイ・ファンクとしてブートのコンピに入れてましたネ!タイの歌謡音楽界は作詞家が最も地位が高いように思われ、日本に少し似ているかもしれません。日本の歌謡曲では高名な作詞家の先生に依頼して歌詞を「頂戴し」、それに音楽を付けてヒット曲を作るという図式があった。SSWブームの後にその牙城が揺らいだのだったか、それはともかく、タイも作詞家で大成するのが最も名誉を集めることになっていて、現在もその風潮はある。ただし、日本と同様、伝説的な作詞家達はもはや高齢で相次いで死去し、ひと時代の終わりとなっているのも事実です。
ドイさんは下町の親分風で、今でこそ気のいい親父さん然としているが、70s−80sは相当にキレた、仕事に厳しい人だったという証言があります。歌詞をずっと眺めて読んでいくと、率直に言うとカネのためだったのでしょうが、当時どういう気持ちで書いてプロデュースしたのだろうと、思いを巡らしてしまうものも多く、イサーン人のペーソスを書かせたら右に出る者なし!このドイ・インタノンへの関心はまだまだ続いております。ご清聴ありがとうございました。(文責:江村)